ようやく実家から解放されたと思ったけれど……。短編小説『アンタのため』

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 僕の母親はとかく多くの食材を使って多くのメニューを作る。
 朝食も夕食もだ。
 休みの日なんかは昼まで母の品数盛りだくさんなメニューを食べることになる。

 母親曰く、栄養のバランスを取るため。

 僕が物心ついたときから母はそう言っていた。 
 でも子供だった僕としては、さっさと済ませて本を読んだりしたかった。
 僕は幼い頃から外で遊ぶよりも部屋の中で遊ぶほうが好きなタイプで、幼稚園の頃は絵本、小学校にあがってからは早くも小説を読むようになっていた。
 一冊でも多くの本を読むためには時間が必要。
 けれど、品数の多いメニューなもんだから、全部を食べるのに時間がかかってしまう。
 でも母にそれを言っても

「アンタのためなんだよ?」

 と言って聞く耳もってくれなかった。
 

       *
 

 月日が経ち、僕は大学受験に合格し上京することになった。
 晴れて大学生、キャンパスライフ。
 なにより、自分の時間を好きなようにコントロールできる!
 僕は有頂天になって、読書に時間を割くようになった。
 あぁ、これだよこれ。
 僕が求めていた生活だよ。
 図書館で本を借り、古本屋でワゴンを漁って買っては活字を読み耽る日々。
 最高だぁ……。

 が、

 独り暮らしを始めて早々に、僕は風邪を引いた。
 肌もカサカサするし、どうしたんだろ……。
 その後も、僕はよく風邪を引くようになってしまった。

「なんか僕……あんましキャンパスライフ楽しめてないんだけど」

「仕方ねえよ、風邪なんだからよ」

 同じゼミの友人、カワタニが言った。
 彼は風邪を引いた僕のために差し入れを持ってきてくれていた。ありがたい。

「でも風邪なんか流行ってないだろ。なんで僕だけ……」

「ちゃんとメシ食ってるか?」

「…………」

 僕は沈黙した。
 食べてはいたけど、果たして「ちゃんと」と言えるかは怪しかったのだ。
 読書に時間を割くべく食事に費やす時間を減らした。
 そのために活用したのがカップ麺。
 カップ麺はスバラシイよ。
 お湯入れるだけなんだし。
 待ってる間も本を読める。

 けど、それがよくなったみたい……。
 

       *
 

 夏休みになったんで実家に帰ってみると、例によって母がおかず盛りだくさんの夕食を出してきた。
 白米、ワカメと油揚げの味噌汁、鮭の塩焼き、肉じゃが、白菜の漬物、厚焼き玉子、納豆……相変わらずだな……。
 

「……いただきます」
 

 僕はその全てを平らげたのだった。
 

※あとがき
『うるさい愛』というお題を元にして書いた即興小説を加筆修正した作品です。
往々にして親、とりわけ母親というのはあれやこれやと世話をやきたがる…のは、僕のオカン特有なのだろうかw
我が家も毎食のように品数豊富なメニューですよ。
幸せなことです。
 

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