家族はみんな元気だったけれど……。短編小説『十四の夏』

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 実家に帰ると、オヤジとオフクロが目を丸くして俺を迎えた。

「お、おまえ……どうしたんだ突然」

「息子が自分ちに帰ってきたら変なのかよ」

「いや変ではないが……上京したきり帰省してなかったじゃないか」

 オヤジは口元をモゴモゴさせていた。
 突然帰省した俺の扱いに困ってるんだろうな。
 俺だってどう振舞ったらいいかよく分からない。

「まぁまぁいいじゃないの。久しぶりに幸太が帰ってきたんだし、今日はいっぱい美味しいもの作るからね!」

 オフクロが張り切って台所へ向かっていく。
 俺はその後姿を見て、胸のあたりが熱くなるのを感じたのだった。
 

       *
 

「で、どうして突然帰ってきたのよ」

 姉ちゃんが疑わしい目を向けてきた。
 
「んだよ、帰ってきたらわりぃのかよ」

 俺と姉ちゃんは縁側に腰掛けてスイカをかじっていた。
 オフクロの料理をたらふく食べて満腹だったけど、スイカは自然と腹の中に入っていくから不思議だ。
 夏と言えばやっぱスイカだよな。

「べっつにー。借金でもしてお金借りにきたのかと思ってさ」

「んなわけあるかよ。働いてがっぽり稼いでるっつうの」

「ならいいけど。結婚は?」

「してない。まだ30にもなってないし独身楽しみてぇよ」

「そんなこと言ってると婚期逃すよ~」

「姉ちゃんみたいに?」

「……フフフ、言ってはならないことを口にしてしまったようね」

 姉が襲い掛かってきた。
 顔面を八往復くらい引っかかれたところでオフクロが「アンタたちはいつまで子供やってるの!」と止めに入ってきた。
 できればもう少し早く登場してほしかった。
 いてぇ。
 ……でも、悪くない。
 

       *
 

 明日の朝に世界は終わる。
 突然外が光り輝いて真っ白になったかと思ったら、何もかもが吹き飛ばされるんだ。
 どこまで行っても、
 何も、
 誰にも、
 そこがどこかも、
 分からない。
 どうして俺だけが存在しているかも。
  

 無。
 
 
 無になった世界だけれど、たったひとつ確かなことがある。
 
 
 

 戻りたい。 
 
 
 

 そう願うと、世界が無になる一週間前になぜか戻れる。
 けれどそれ以上時間を遡ることは叶わない。
 俺はこれで十四回戻ったことになる。
 最初は世界が無になった原因を突き止めようと思ったが、一瞬にして何もかも消えてしまう世界を数回見て、俺は早々に諦めた。
 

 やり残したことをしよう。
 

 頭をそう切り替え、俺はずっと好きだった会社の同僚に告白したり、行きたいと思っていた国に海外旅行に行ったりしていた。
 今回は帰省だ。
 ずっとオヤジとオフクロの顔を見てなかったからな。
 姉ちゃんも元気そうで何よりだ。 
 でも、明日には……。
 

       *
 

「もう遅いんだから早く寝なさいね」

 オフクロが俺と姉に注意した。

「別に遅くったっていいだろ」

「よくないわよ。明日は朝早くに起きて畑仕事手伝ってもらうんだから」

「……そっか。わかった。もう寝るよ」

 俺は明日の朝にそなえて寝ることにした。
 次戻ったら、何をしようか、と考えながら。
 

※あとがき
『夏の14歳』というお題を元にして書いた即興小説を加筆修正した作品です。
青春っぽい感じにしようかと思ったけど、それじゃあそのまんま過ぎるなぁと思って世界を終わらせてみましたw
ただこの「歴史を延々と繰り返す」展開も今や使い古された感はありますよねぇ(苦笑)
 

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