異能力者は文房具で戦う?短編小説『異能文房具バトル』

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 僕は異能力犯罪者を追い詰めた。
 ヤツはコンビニ強盗をした末、通りがかった高校生から自転車を奪い逃走していたのだ。
 だがこの追いかけっこももう終わり。
 ようやく行き止まりに追い詰めた。
 逃げ場を失ったヤツは、僕と向き合っている。
 その表情は真剣。
 相当の覚悟が窺える。
 

「観念しろ、異能力者」
「ケッ、てめぇも異能力者だろうが」
 ヤツは鼻で笑った。
「たしかに君の言うとおり僕も異能力者だ。けれど残念ながら立場が違う。僕は取り締まる側で、君は犯罪者だ」
「異能警察め……」
 ヤツは苦虫を潰したような顔をした。
 そして着ているジャケットの懐から何かを取り出した。
 ……消しゴム?
 ヤツが指先でつまんでいるのは、どこにでも売っている白い消しゴムだった。
 僕は身構えた。
 消しゴムをどう使うかはわからないが、何かしらの異能を発動させる気だろう。
 あの消しゴムはそのトリガーになるに違いない。
 意外性のあるものほど、案外厄介なものだ。これは経験則。
 ヤツは消しゴムをつまんだまま僕に向かって駆け出す。
 それから殴るかのように消しゴムをふるう。
 僕はかわしたが、消しゴムがわずかに僕の右腕のかすった。
 その途端、かすった場所が猛烈な熱さに襲われた。
「ぐっ……」
 かすった箇所を見てみると、皮膚が黒ずんでいた。
 まるで焼け焦げたように……否、実際に焼け焦げたのだろう。
「へへへ、どうよ。このバイオ消しゴムの威力は!」
「バイオ、消しゴム……」
 僕はヤツがつまんでいる消しゴムを見やった。
 何の変哲もない消しゴムだが、なるほどたしかに異能のアイテムだ。
 毒属性の能力でもって消しゴムにあのような熱さをもたらしているようだ。
 

「だが、君のそれは接近戦でしか役に立たないだろう」
「それはどうかな」
 ヤツは口角を吊り上げそう言うと、おもむろに消しゴムを砕いて細かくした。
「まさか!」
「そう、そのまさかだ!」
 ヤツは細かくした消しゴムを投げ始めた。
 僕は後退を余儀なくされる。
 一粒一粒は小さくても、当たればダメージは必至だ。
「言っておくがこの消しゴムはまだ五十個もストックがある。ここでなくなるのを待ってても無駄だぞ!」
「なるほどな」
 僕は頷くと、ズボンのポケットからボールペンを取り出した。
 それを地面に突き刺す。
「インクフィールド!」
 次の瞬間、周囲が暗黒に塗りつぶされた。
 ヤツが投擲した消しゴムは真っ黒く塗りつぶされ落下していく。
「バカな!」
「君も文房具を異能のアイテムにするタイプのようだが、僕もそうなんだよ。やはり身近なアイテムのほうが持ち歩くのに便利だよね」
「ぐっ、体が……体が……っ」
 ヤツの体も黒く染まっていく。
 インクの闇に捕われて動けなくなっているのだ。
 闇属性に耐性のある者ならばどうということはないが、そんな耐性を保持している者など人格破綻者かはたまた魔物の類だ。
 これが僕の異能力『インクフィールド』である。
 

 その後、僕はヤツを逮捕して連行した。
 ただ、これは氷山の一角だ。
 この手の輩は、それこそ掃いて捨てるほどいる。
 僕の仕事に終わりはない。
 

※あとがき
『バイオ消しゴム』というお題で書いた即興小説を加筆修正したものです。
……バイオ消しゴムってなんだよ!?
と、僕が頭をかきむしったのは語るまでもない(笑)
わからないモノについて書くのはムリだと判断し、このわからないモノを勝手に定義しちまえと思って書いたのがこの作品。
なんとなくバトル物書きたいなーという思いも手伝って異能モノになりました。
書いてて楽しかったです。

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2 件のコメント

  • こんにちは。
    ツイッターでのフォローバックありがとうございました。
    私もたまに即興小説に挑戦するのですが、挫折することも多いので無茶なお題でも書き上げられるのは尊敬します(笑)
    小説家になろうのカカオさんの小説も何本か読ませていただきました。アンチ・デスティニーが特におもしろかったです。
    これからも頑張ってください。陰ながら応援させていただきます。

    • SS感想マンさん、コメントありがとうございます!
      こちらこそフォローしていただき感謝です。
      即興小説はもう常に無理やり書き上げているようなノリなのでなんとも(笑)
      なろうの作品も読んでいただけたようで、重ね重ねありがとうございます!

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