いつもそばにいてくれた姉は、いつもそのままの姉だった。短編小説『未熟なままの姉』

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mijukuane

 ぼくには、いつもいっしょにあそんでくれるお姉ちゃんがいる。

「今日は何して遊ぼっか」

 お姉ちゃんはいつもそう声をかけてぼくにいろいろなあそびをおしえてくれた。
 トランプだとしんけいすいじゃく、あとババぬきもやった!
 
「本当はババぬきって人数多いほうが楽しいんだけどねぇ」

 ってお姉ちゃんは言ってたけど、ぼくはお姉ちゃんとふたりだけでもたのしかったよ。
 お姉ちゃんがいてくれるおかげで、ぼくはいつもしあわせだった。
 

       *
 

 最近、姉貴が鬱陶しい。
 何かと俺につっかかってくる。

「進路はどうするの? もう高三だよ?」

 なんて具合にな。
 分かってるっつーの。
 ガキの頃は二人で遊んでてそれなりに楽しかったけど、俺はもう十八なんだよ。
 いつまでも姉貴の世話になんてならねえっての。

「ねえ、わたしの話聞いてる?」

「あー聞いてる聞いてる」

「うそ、聞いてないでしょ」

「っせーなぁ」

「あ、お姉ちゃんに対してその態度はなーにぃ?」

「何がお姉ちゃんだよ。外見は俺と同じかもう年下にも見えるぞ?」

「それがわたしだからね」

「ケッ、いつまでも未熟でいられるっていいねぇ」

「そうでもないけどなぁ」

 姉貴はどこか寂しそうに笑った。
 ……今のは口が滑ったな。
 なんで「未熟でいられるっていいね」なんて言っちまったんだ、俺。
 

       *
 

 結局、僕はずっと独身だったなぁ。

「どうしたの、喉渇いた?」

 姉が僕の顔を見て怪訝な表情を浮かべた。

「いいや、だいじょうぶ」

「そう、ならいいけど」

 姉は僕の手を握っている。
 若い頃には想像もつかなかったシワシワでシミだらけの僕の手を。
 病床についてもう二年になる。
 病は進行して、僕はもうろくに手に力が入らない。
 しっかり、彼女の手を握り返してあげたいのに。

「そんな悲しい顔しないで」

「悲しい顔してるかな、僕」

「してるわよ。もっと元気でいてほしいな。昔みたいに「うぜぇよ姉貴、俺に近づくなよ」なんて言ってくれると嬉しいな」

「そんな酷いこと言ったかな、僕は」

「言ったわよ。しっかりと覚えてますからね」

 そう口にして、姉は僕の額を軽く小突いた。
 僕達は笑い合った。

「……わたしが、あなたの病気を代わってあげられたらいいのに」

「姉さんはいつまでも若くいてくれないと、姉さんじゃないよ」

「わたしも歳を取りたいなぁ」
 

       *
 

 わたしは一軒の家の前で立ち止まった。
 今日からお世話をする人間が住む家。
 生後3ヶ月だって。
 まだ可愛いねぇ。
 でもそのうち大きくなって、反抗期が来て、老年期が来る。
 それが人間。
 でも、アンドロイドのわたしはずっと未熟なまま。
 
 この前までお世話をしていた人間のことを思い出すと、不思議と胸の辺りが重くなる。
 胸部にそんな重量のあるパーツが仕込まれているはずはないんだけど。
 

「……よし、いきますか」
 

 わたしはその家のインターホンを押したのだった。
 

※あとがき
『未熟な体』というお題を元にして書いた即興小説を、加筆修正した作品です。
人工知能とロボット技術が進めば、こんな未来が来るのかもしれません。

僕が生きている間に、僕の世話をしてくれるお姉さんが現れることを祈る(台無しw)
 

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