書いたことがなんでも実現する?短編小説『杉田の過ぎたノート』

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sugitanote

「杉田ー、昨日の社会のノート貸してくんね?」

「あぁ、お前昨日休んでたもんな。ちょっと待ってろ」

 杉田はそう言うと、机の中からノートを出して俺に手渡した。

「さんきゅ」

「明日には返せよ。来週から期末テストなんだからな」

「期末かぁ……。めんどいわ」

「中三の二学期にしょっぱい点数取ったらキツイぞ~」

「嫌なこと言うなよ……」

 そうなんだよなぁ。
 もう進路を決めなきゃいけないっつうのに、俺は行きたい学校すらまだ決めてない。
 成績よくないから選択肢が大してないんだけど。
 

       *
 

 俺は家に帰ると、杉田のノートを書き写した。
 杉田はキレイにノートを取っていて、分かりやすかった。
 うちの中学の社会の教師は、字が汚くて板書が読みにくいことで生徒から嫌われているんだけど、あの汚い字をよくもまぁこんなに分かりやすくまとめたもんだぜ。
 さっすが、毎度のテストで学年十位以内をずっとキープしてるだけあるよ、杉田。

「しっかしキレイすぎるなぁ」

 キレイな字で書かれているのはいいけど、ちょっと息苦しいんだよなぁ。
 杉田は字も上手いし、自分なりにポイントをまとめて解説まで加えたりしてるんだけど、文字がビッシリしすぎて読んでて辛くもある。
 もっとこう、遊び心がほしいね。
 っつうわけで、俺はオリジナルの占いを書いてやることにした。
 
 
 

『杉田の明日の運勢。
 風引いて熱が40度出て学校を休む』

 
 

 
 ……占いっつうか予言だな。
 ま、いっか。
 

       *
 

 翌日、杉田は学校を休んだ。
 なんでも熱が出たとか。
 

「マジかよ……」
 

 俺はその日、ずっと杉田から借りたノートを、自分が書いた占いを眺めていた。
 ……ここに書いたらなんでも本当に起こったりして。
 まさか、な。
 試してみっか。
 
 

『明日の朝、エイリアンが地球を攻めてきて、宇宙戦争が勃発する』
 
 

 なーにやってんだろな俺は。
 さっさと進路決めねえと。
 今日は真面目に授業受けるぞー。
 俺は杉田から借りたノートを閉じて、次の授業の準備をした。いっけね、教科書忘れたわ。

       *

 翌日の朝、スマホのアラームで起きるよりも前に、激しい揺れで目が覚めた。
 

「な、なんだぁ!?」
 

 ベッドから転がり落ちてしまった俺は、未だ揺れている自分の部屋で体を丸くした。
 地震かよ~。
 早く終わってくれぇ。

 けど様子がおかしい。
 揺れと同時に外から爆音が聞こえてくる。
 窓の外を見てみると、そこかしこで火事が起こっていた。
 家々が燃えて、火の粉が舞っている。
 そして空には……
 

「うそ、だろ……」
 

 戦艦が空を飛んでいた。
 たくさんの砲塔をつけて、そいつは地上に向かってレーザーを放っている。
 レーザーに照射された場所は爆発炎上している。
 

「あっ!」
 
 

 杉田に借りたノート!
 本当に俺が書いたとおりになりやがった!!
 
 

 すぐさま杉田に借りたノートを開いて俺は、
 
 

『無し!全部無し!!』
 
 

 と書いた。
 すると、
 
 

「え」
 
 

 静かになった。
 音が消えた。
 揺れも消えた。
 俺の部屋も消えた。
 何もない、真っ白。
 遠近間隔が狂う。
 そんな延々と続きそうな真っ白な空間に、俺はひとり立っていた。
 
 

「……あ」
 
 

『全部無し』なんて書いたから、全部なくなっちまったんだ。
 
 

「まぁ、元通りにしてくれとか書けば余裕……」
 

 俺はノートを開こうとした。
 だが、ノートが消えていることに気付いた。
 ノートだけではない。
 自分の掌の中にあったはずのペンもない。
 
 

「……!?」
 
 

 掌の色が薄く、透けてきてた。
 俺も、きえ、   る?
 

※あとがき
『昨日の社会』というお題を元にして書いた即興小説を、加筆修正した作品です。
まぁ社会でも国語でもなんでもイイ内容になってしまいましたがw

ノートに書いたことが云々的な物語は、やはりデスノートが最高によく出来た話だと思いますね。うん。
この短編書いてたら読みたくなっちゃいましたよ。
 

 

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