サバゲー中にトラブル発生。そのとき僕は……。短編小説『希望の狙撃手』

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 スナイパーにとって大切なことは、敵に自身の存在を知られないことだ。
 知られたときがあるとすれば、それはスナイパーが引き金を引いた後の話。
 そして、引き金が引かれた後はもう。

       *

 僕は息を潜め、潜め、潜めぬいた。潜めぬいた、などという日本語があるのか定かではないが。
 僕がどこにいるのかって?
 学校の掃除用具入れの中だよ。
 中学三年にもなって何やってんだって話だ。
 でもこれには理由がある。
 実は今、夜なのだ。
 学校の中も当然のことながら人気はない。表向きは。
 だが校内のそこかしこに同じクラスの男子が散らばっている。実は今、サバゲーの真っ最中なのだ。
 誰が言い出したかはもう忘れたけど、夜の学校でサバゲーをするのが僕達の間でちょっとしたブームになった。もちろん教師には秘密である。
 バレたら……考えるのはよそう。
 掃除用具入れに入って十分ほど経ったとき、足音がこちらに近づいてきた。
 コツコツ。
 その直後、ダダダダッという騒々しい足音も加わる。これは走っているな。
 そして、
 
 
 
 

「お前たち! 何やっている!」
 
 
 
 

 ……最悪だ。
 教師、それとも警備員か。
 いずれにしても、夜のサバゲーに突如現れた外敵に、クラスの男子連中は右往左往しているようだ。
 掃除用具入れの扉をそっと開けて外の様子を窺ってみると、今まさにこちらに向かって逃げてくる男子三人、その後ろから警備員と体育教師の姿が確認できた。よりにもよって教師と警備員の両方か。
 僕は咄嗟に狙いを定め、警備員と体育教師の頭部を狙って撃った。
 BB弾が狙い違わず頭部に着弾、そして、
 
 
 
 

 ズラが外れた。
 
 
 
 

 二人ともズラであることはかねてより噂されていた。ただ所詮は噂で真偽のほどはわからなかった。僕はそこに賭けたのだ。
 往々にしてズラが取れた男は公衆の面前で丸裸にされたかのように混乱する。
 案の定、
 
 
 
 

「え、あ、おおおぅ!?」
「#$メ#$ガ%#%ア##$#!!」

 
 
 
 

 二人とも大パニックだった。体育教師などもはや言語の国籍すら判別できない。
 僕は掃除用具入れから飛び出し、クラスの男子達と合流。
 すぐに学校から立ち去った。
 幸い誰の顔も見られていなかったため、僕達の夜のサバゲーは露見していない。
 そして僕はしばらく、希望のスナイパーだなんて呼ばれていた。
 

※あとがき
『希望の狙撃手』というお題を元にして書いた即興小説を、加筆修正した作品です。
中学の頃にエアガンにハマっていた時期があったのを思い出してみて書きました。まあ、結局のところ僕は一度もサバゲーはやらなかったけれど。もっぱら的に当ててばかりでしたね。あれはあれで楽しかった。うん。
 

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