死刑囚になったんだが……。短編小説『誰にだって、どこにだって』

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 俺はやってない。
 俺はやってない。
 俺は、やってない!
 そう叫び続けて、そして俺は死刑囚となった。
 やってもいない殺人で、俺は逮捕された。
 突然、落とし穴に落っこちたような気分だった。
 
 

 理不尽な取調べは有無を言わせぬ威圧的な刑事が担当し、酷い目にあった。拘置所のメシはまずく、居心地は言うまでもなく最低だった。
 裁判で死刑が確定したときは、落ちるところまで落ちたなと諦めの境地に達していた。生きる気力も何もあったものではなかった。
 だが落とし穴は何も俺だけにあったわけではない。
 誰にでも、どこにでも存在していたのだ。
 
 
 
 

 

 世界が崩壊した。
 
 
 
 

 ずっと獄中生活を送り、情報なんてものを手にすることができなかった俺には何が起きたのかはわからない。テロか、あるいは核戦争でも起こったのか。
 ただ、ある日、刑務所が揺れて、壁のあちこちが崩れた。上手い具合に俺は壁に押し潰されることなく生き延び、しかも外に出ることに成功した。
 外の世界は惨憺たる有様だった。
 だが、俺はとても冷静に、そして冷めた目でその崩壊した世界の様子を眺めていた。
 誰にだって、どこにだって、落とし穴はある。
 今回は、みんないっしょに落ちた。
 穴が大きかった。
 ただ、それだけのことだ。
 

※あとがき
『孤独な死刑囚』というお題を元にして書いた即興小説を、一部加筆修正した作品です。
突然空から看板が落ちてきて頭に直撃して重傷を負ったり、乗った電車が脱線したり…こう考えると、これはもう好きに生きるっきゃねえべ!とか思っちゃうんですけど、それはそれでリスキー。だって、長生きしたらどーするのん?って話ですしね。
やーこの話題は本当にムツカシイ。
ただまあ、このブログのタイトルにもありますように、僕は基本的に「人生、心躍ってなんぼですよ」と思っていますよ。
日々を大切にってことですな。うん。
 

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