出張先は惨劇の跡だった?

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katadukerarenai

 

某古本屋でバイトをしていたときの話です。
その当時の僕は仕事も一通り覚え、とりあえず不自由なく店の中で動ける程度ではありました。
何があろうと全てのことに対応できるというわけではなかったけれど、普通に業務をこなせるぐらいではあったと思います。
あくまでも店の中の話ですが……。

 

厄介なのが出張買い取りです。
どこの古本屋でも大抵やっているサービスで、僕が働いていた古本屋も同様に車でお客さんのお宅に伺って本を買い取るサービスをしていました。
これがもう、店の中のようには上手くいきません。
お客さんの家で査定するわけですので、当然のことながら環境が店とはまるで違います。
もっと言えば、お客さんのお宅も千差万別です。
とはいえ玄関で査定する場合が多かったですけど。
けれど居間で査定するときもあれば、庭にブルーシートを敷かれていてその上で査定したときもありましたね(広い庭だった……)。

 

たくさんのお宅で出張買い取りをしてきたので、いくつか印象的なエピソードがあります。
特に記憶に残っているのが『強盗に入られちゃって……』のお宅です。
行ってびっくり。
家が荒らされていたのです。
床はとにかく物で埋まり、文字通り足の踏み場もなかったです。
壮絶な光景に比喩でもなく絶句しましたね……。

 

お客さん「ちょっと強盗に入られちゃってねぇ……」

 

とお客さんは苦笑されていました。
ちなみに五十代ぐらいに見える女性でした。

 

僕「ごっ、強盗!? 警察は……」
お客さん「大丈夫よー、もう呼んで行っちゃった後だから」
僕「は、はぁ……それで、査定はどうしたら……」

 

散乱する物の中には本も多く含まれていた。

 

お客さん「適当に探してやってもらえます?」
僕「わっかりましたー(どゆこと!?)」

 

つまり、この何かの闘いの跡みたいな場所から本を発掘し査定してくれということです。
それを理解するのに数秒かかったと思いますw
しかし目の前に本があることは確かなのでやるっきゃないです。
皿やら靴下やらテレビのリモコンやらバッグやらその他諸々の中から、僕は本を引っ張り出したり発掘し、どうにか査定を進めました。
その最中に考えたことは、

 

これってもしかして片づけられない女なのでは……。

 

という疑惑。
けれど、それにしては散乱しているものは比較的きれいです。
もし片づけられない人ならば、もっと埃っぽかったり酷いと異臭を放ったりしているようですけど、そういった不潔な様子は窺えませんでした。
カラーボックスが倒れたりもしていて荒らされた跡のような感じもあったので、たしかに泥棒が襲撃したという言には説得力があります。
そんなあれこれに思考を巡らせつつ本の査定をやってました。
買い取り金額は覚えてませんが、あまり値段の付く本はなかったように記憶しています。
部屋一面が物で埋まったあの部屋を、もう何年も経った今でもはっきりと思い出せます……。

 

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