競争が嫌いなんでブッ飛んでみた。短編小説『日本発射』

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「今回の契約に際して最後に確認しておきたいのですが」
「なんだい」
「本当に構わないんですね」
「構わないよ」
 私の問いに、彼は迷わず答えた。
 どうでもいいが、彼の馴れ馴れしい話し方はなんとかならないのか。ビジネスの場だというのに。
 私が辟易としている中、あまつさえ彼は聞いてもいない自身の経験を語り始める。 
「僕はこれまで十社の外資系企業を渡り歩いてきたんだよね」
「はぁ」
「そこで僕はわかったんだ。グローバル化は日本から余裕を無くさせたってね。だってほら、周りと競争しなくちゃいけないでしょ。日本人同士でもまあそうだけど、海外との競争はその比じゃない。ぶっちゃけシビア極まりないよ。十社の外資で経験を積んで、僕はそう思ったね」
「なるほど」
 欠伸をかみ殺して私は頷いた。
 なんでこんな話になっているのだ。そもそも十社の外資系企業を渡り歩いたのは、単純にこの男の忍耐の無さに原因があるか、この男の馴れ馴れしさに会社が見切りをつけたかのいずれかだろうと私は思うのだが皆さんはどう思う?
 いもしない聴衆に心の中で問いかけている間も男は語る。語らせておく。
「だから僕は日本を世界から隔絶させることにしたよ」
「懸命な判断です」
 私は適当に言っておいた。
 こちらは商売なので懸命であろうとなかろうと知ったことではない。
「んじゃあ、スイッチを押してくれ」
「かしこまりました」
 そして私はスイッチを押す。
 日本が地球という惑星から飛び立った。
「これで少しはこの国にもゆとりが生まれるだろ」
「そうですね」
「ところで、君達の惑星の人たちはみんなそんな感じなの?」
「そんな感じ、と申しますと?」
「いやほら、僕達地球人は腕が六本もないからさ」
 

※あとがき
『10の外資系企業』というお題で書いた即興小説を加筆修正した作品です。
まあ、加筆修正はしたのですが、どう修正してもヘンテコな話にしかならんなと思いました(笑)
今までのお題の中でダントツ1位の書きにくさでしたね……。そこがまあ即興小説の面白いところなんですけど。
 

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