やはりメシと言えば……。短編小説『エースパイロット飯』

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 その男がパワードスーツから降りると、兵達が歓声をあげた。
 単機で敵機を三十七機、敵戦艦を四隻沈めたのだ。
 その功績は兵達の歓声だけでは足りないぐらいに賞賛されるべきものだった。
 まさにエースパイロット。
 この戦争においては、彼は希望の星とまで言われている。
 男は精悍な顔付きで、鋭い目つきをしている。
 

 男の部下が近づき、彼にタオルを手渡した。
「お疲れ様です!」
「あぁ」
 男は無愛想に答えた。
「お疲れでしょう。すぐに食事の用意をさせますので」
「いや、いい」
「今日もですか」
「なんだ?」
「い、いえ……いつも基地で食事をされないのでどうしてかなと……」
「気に入ってる食堂があるんだよ」
 男はそう言ってその場を後にした。

       *

「ただいまー」
 俺が帰ると、お袋が「おかえりぃ」と間延びした声で出迎えてくれた。
 この瞬間が一番ホッとするぜ。
「ごはんならできてるよ」
 お袋はニコリと微笑んで言った。
 食卓にはどんぶりにこんもり盛られた白米、秋刀魚の塩焼き、ワカメの味噌汁、肉じゃが、白菜の漬物が並んでいた。
 白米からは湯気と美味しそうな匂いが立ち上っている。
 俺の腹がグゥと鳴った。
「いっただきまーすっ!」
 俺は夢中で白米をかきこんだ。
 うんめぇ!
 やっぱお袋のメシは最高だな!
「そんなに慌てなくても誰も取りゃしないよ」
 お袋は苦笑いを浮かべながら、俺がメシを食う様子を見ていた。
 

 エースパイロットだなんだって言われてるけど、正直言ってプレッシャーでしかない。
 やたら期待されても俺は別に嬉しくなんてないんだ。
 基地ではいつも誰かしら俺に視線を送っているし(気配でわかる)、ましてやそんな中でメシを食うなんて俺には考えられないわ。
 こうして家に帰ってお袋が作ったメシを食うのが一番だぜ。
 

※あとがき
『日本食事』というお題で書いた即興小説を加筆修正した作品です。
日本料理ならともかく日本食事って……。
まあ日本の食事は母ちゃんの食事かなと思ってこういうお話になりましたとさ。
 

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