本レビュー ダ・ヴィンチ編集部 編『本をめぐる物語 一冊の扉』(ネタバレ注意)

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※ネタバレ注意

本をめぐる物語 一冊の扉 (角川文庫)

 

タイトルに惹かれて買った本です。色々な作家さんが書いた短編が収録されています。

この本のように多くの作家さんの作品を集めた本を、僕はたまに読むようにしています。読書の幅を広げるためです。どうして好きな作家さんの作品ばかり読んでしまう癖があるので……。

思いがけない出会いがあるのが、この手の作品集の良いところです。

気に入った作品があれば、その著者の長編を手にとってみれば、めくるめく読書の世界がきっと開拓できることでしょう。

そんな具合に今作でも、僕は気に入った作家さんを何人か見つけたので、長編も読んでみようかなと考えてます。

今回は作品数が8編もあるので、作品ごとに短くではありますが感想を書いていこうと思います。

 

メアリー・スーを殺して

二次創作をする人の気持ちがちょっとわかった気がしました。

小説を書くために並々ならぬ努力を注ぎ込んだ主人公には脱帽。僕も頑張らなきゃなあ……と思わずにはいられなかった(苦笑)

 

 

旅立ちの日に

この世界には人生をも変え得るような本がある、かもしれない。

そんな運命の本に巡り合えたらいいなと思える話でした。

 

 

砂に埋もれたル・コルビュジエ

認知症になってしまった父親が、孤独に砂場に佇む姿が涙を誘いますなぁ……。

どんなに記憶をなくしても、なくならなかったモノが本にまつわる記憶というのがまたなんとも。

 

 

ページの角の折れた本

静かな物語でした。ただ、この物語中に登場する小説がどうにも感情移入できませんでした。

僕が男だからというのもあるからなのか、とにかく主人公の大阪の女性がどうにもこうにも首を傾げざる負えないほどに経験を活かしていないなと……。

あるいはそれが性だから、経験も何もあったもんじゃないということなのでしょうか。

ちょっと僕には合わない作品でした。

 

 

初めて本をつくるあなたがすべきこと

語り部である妻の苦労がひしひしと伝わってきましたw

というか、旦那さんが面倒くさすぎる人物です(苦笑)

けれど、衝突し議論を交し合って本が出来上がったときには、妻の達成感がこちらにも伝わってくるようでした。

 

 

時田風音の受難

笑えた作品でしたw

40過ぎの新人作家さんが可愛い編集者に翻弄される様が良かったです。

猫の蛍ちゃんのために稼ぐ、という動機も切なくなりつつ笑えました。

 

 

ラバーズブック

旅好きの僕にはたまらない作品でした。

本が置かれたテーブルのエピソード、そして世界を旅した本。

この作品読んでたら旅したくなってきた。

 

 

校閲ガール

この短編集の中では1番気に入った作品です。1番笑ったので。

とにかく主人公の悦子の口の悪さが際立っています。彼女は校閲を仕事にしているのですが、上司だろうと他部署の人間だろうと大物作家だろうと『バカじゃないの?』などと罵倒する始末w

文章も軽快な具合に書かれているので、とても読みやすかったです。

 

 

まとめ

小説を書いている人が読むと面白い作品集だな、と読み終えてから思いました。

本作りに携わったり文章を書いている人を登場人物にしている作品が全体の半分以上。作家さんもやたらと登場しますしね。

ただ『本をめぐる物語』という表題なのでそうなってしまいがちなのかもしれませんが、僕としてはそういう業界以外の話で本を絡ませた話があってもいいのでは、と感じました。

一般作なので仕方ないのかもしれませんが、それでもファンタジー要素を織り交ぜたものが一般作の中に普通にありますし、この作品集でもひとつぐらい全く毛色の違う作品があったらよかったかなーと。

とりあえず『時田風音の受難』と『校閲ガール』がとても面白かったので、これらを書いた作家さんたちの作品を追ってみようかなと思いました。

 

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