留学したときに最初にやらかした失敗について語ろう。短編小説『草の真実』

SPONSORED LINK
tadanokusa

 ワタシがニホンに留学したときに最初にやらかした失敗について語ろう。
 

 ニホンの大学はどんなところだろう。
 ワタシは馴染めるのだろうか。
 ゴハンはおいしいのかな。
 いろいろな不安がワタシの中で渦巻いていたけれど、それはワタシが心配しすぎなだけだった。
 

「なんか分かんないことある?」

「いっしょにメシ食おうぜ」

「これからサークル見学行くんだけどいっしょに行かない?」
 

 こんな具合に、外国人のワタシを気遣ってくれているのかニホンの学生たちはワタシにとてもやさしくしてくれた。
 連絡先も教えあい、ほどなくして彼氏までできてしまった。
 ワタシのニホンライフは順調、に思えた。
 ただひとつ、疑問に思うことがあった。
 LINEでメッセージをやりとりするときによく語尾に
 
 

「w」
 
 

 をつける友人たちがいた。
 ワタシにはこの「w」がなんなのかよく分からなかった。
 ダブリューに意味があるのだろうか。
 別に「w」を抜いたところで意味は通るはずなのになぜわざわざ余計な文字を、それもアルファベットをくっ付けるのかワタシには理解できなかった。

 ただ、講義で教授が示す資料などには「w」はついていなかった。
 なるほど。
 ニホンの若者特有の文化なのだな。
 若さの象徴なのかもしれない。
 ワタシはそう判断した。
 
 

 
       *
 
 

 事件は唐突に起きた。
 いや、起きるべくして起きたというべきか。
 

「ちょ、リサ意味わかって使ってる? 意味分かってんならちょっとありえないんだけど」

「え?」
 

 彼氏がなにやら怒っている。
 でもワタシにはなんで彼の怒りのボルテージが上がっているのか見当もつかなかった。
 

「これだよこれ」

「どれ?」
 

 彼はスマホの画面をワタシに見せてきた。
 そこにはLINEが立ち上がっていて、ワタシと彼とのやり取りがあった。
 
 

『好きだよ、リサ』

『ワタシも好きwww』
 
 

 言うまでもないけど、ワタシのメッセージは下のほうにあるやつだ。
 若さをアピールするべく「w」を三つも付けたよ。
 中には5つぐらいつける子もいるから、ワタシなどまだまだだ。
 

「これがどうかしたの?」

「……その様子だと意味わかってないんだな。よかったぁ」

「?」
 

 彼から「w」の意味を聞き、ワタシは愕然とした。
 ニホン人は「w」のことを「草」と呼び、「w」をつけることを「草を生やす」だの「草不可避」だなんて言うんだとか。
 誰が最初に考えたんだろ……。
 これからは分からないことがあったら、スグに彼に訊こう……。
 

あとがき

『間違った草』というお題を元にして書いた短編小説を加筆修正した作品です。

ホント、誰が考えたんでしょうねw