パワードスーツ同士の戦い。俺には秘策がある……。短編小説『金をかけた踵』

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 全日本パワードスーツ格闘技大会決勝戦の火蓋が切って落とされた。
 自前のパワードスーツに身を包んだ俺は敵へと一直線に向かう。
 敵機はガッシリとした作りで防御とパワーに秀でている。
 とりわけ右手のマニュピレーターは異様なほどに大きく作られ、その拳から繰り出されるパンチを食らおうものなら俺のパワードスーツは粉砕の憂き目にあうだろう。
 だがその分だけ重さが加わり鈍重な動きを見せるのがヤツの欠点である。
 対して俺はというと、バランス型。
 パワー、スピード、防御ともに平均的で、強いて言うならビームサーベルの扱いは得意だが、ただそれだけだ。
 ――と、思わせている。
「ケッ、バランス型とかつまんねーな」
 敵機が鼻で笑ってきた。
「別に笑いなんか取りたくないし」
「性格もつまんねーなーオマエ。オラァ!!」
 敵機が例の巨大な拳を振り上げてきた。
 やはり鈍重な動き……かと思いきや、なかなかどうして拳の振り上げと繰り出しだけは異様なスピードを誇っていた。
「ぐっ……」
 巨大な拳が俺の右腕を掠めた。
 それだけでスーツの装甲の一部が持っていかれ、生身の腕が露となってしまった。
「くははははっ! どうだ! バランス型には真似できねーだろっ!」
 敵機の野郎が高笑いを響かせる。
 うっせーなー。
 
  

「俺は、バランス型じゃねえ!」
 
 

 左足の踵のスイッチを押す。
 すると、足の形状が変わり、大きなバーニアが姿を現す。
「点火!」
 俺がそう叫ぶや否や、バーニアに青白い炎が宿り、次の瞬間には猛スピードで前進していた。
 俺の突然のスピードアップを見るや、敵機の野郎が驚愕する。
「なっ……スピード型かよ!?」
「と、思うだろうけど」
 敵機が慌てふためいてパンチを繰り出すも、俺はそれをさらりとかわす。
 それから敵機の側面に移動し、
 
 

 右脚の踵のスイッチを押した。
 踵の形状が変化し、踵からバーニアが突き出る。

 
 

 俺は蹴りのモーションに入る。
「点火!」
 途端、凄まじいスピードのキックが放たれた。
 踵のバーニアの噴射によって勢いは数倍に、威力も数倍に加味されている。
「てめっ、片方の足のギミックを残してやが――」
 敵機の言葉は最後まで続かなかった。
 俺の右足が敵機の顔面を捉え、装甲を砕いた。
 十メートル以上を吹き飛ばされた敵機は、そのままダウンした。

「オマエは拳に金かけてるんだろうけどな、俺はこの足に馬鹿高い金継ぎ込んでんだよ」
 俺はパワードスーツの足の部分をポンポンと軽く叩いてやった。
 オマエのおかげで、優勝できたぜ。
 

あとがき

『高い足』というお題を元にして書いた即興小説を、一部加筆修正した作品です。

唐突にバトルを始めてしまいすんません。しかもいきなり決勝戦とか(笑)

『高い』というのを『値段が高い』というふうに捉えて考えた結果、足の部分に『高い』金をかけた、という具合になりました。

最近、バトル物を書いていると楽しいと思えてきた。

以前は書くのが苦手だったんですけどねぇ。
 

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