大学受験に落ちて予備校に入ってみたら……。短編小説『漆黒の闇に包まれし予備校』

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 見通しが甘かった……。
 自習室に一歩足を踏み入れ、俺はそう痛感した。
 机に向かい、黙々と勉強する予備校生たち。ペンが走るコツコツという音だけが木霊する異様な空間だった。
 少なくとも俺には異様に思えた。これが予備校生なのか……。
 ここはさながら『漆黒の闇に包まれし土地』とでも表現できそうだ。誰もが暗い顔をしている。
 恐るべし、予備校。
 って、俺も予備校生なんだけどな……。

       *

 大学受験に落ちた。
 それはもう気持ちのいいぐらいにあっさりと。
 高校時代に遊び呆けていたのだから無理もない。というかこれは想定内だ。
 元より俺は予備校に通うことを前提にしていたので問題ない。
 高校時代は友達が多くできて楽しかった。
 予備校でもきっとこんな感じで楽しくワイワイやりながら勉強して、んでもって大学に受かるだろう。
 などと思っていた。
 
       *

 甘かった。
 入った予備校の特性もあるかもしれないが、少なくとも俺が通う予備校はとてもじゃないが友達作ってワイワイやるぜ、というような雰囲気は欠片もなかった。
 他の生徒と交わす言葉は皆無。
 声を発するのは講師に質問するときだけ。
 そのあまりのストイックさに、俺は予備校に入った当初呆然としてしまった。
 孤独のあまり、胸が張り裂けそうになった。
 寂しい。とにかく寂しい。高校時代に戻りたい。
 そんな思いを絶え間なく胸に抱きながら、俺もほかの生徒と同様に、ひたすらに参考書に向かい勉強に励んだ。
 というか、ほかにすることがなかった。

       *

 一年後。
 大学受験に合格した。
 それはもう気持ちのいいぐらいにあっさりと。
 予備校時代にあれだけ勉強したのだから当たり前だ。当たり前と思いたい。
 合格して思ったことだけれど、あの孤独極まりない環境がよかったのではないかと思えてきた。
 仮に友達作ってあわゆくば彼女まで作り、ワイワイ楽しくやっていたら、おそらく俺は受験に落ちていただろう。
 そう考えると、最初こそ「失敗したぜ……」と後悔に涙しそうになった予備校選択も、今となっては「あの予備校でよかったぜ!」と胸を張れる。
 相変わらず独りは恐いけれど、もしまた勉強しなくてはならないようなことになったら、そのときは自分から孤独になりにいこう。
 そう心に誓いつつ、俺は来たるキャンパスライフで彼女を作るべく、ひとまず服を買いに走るのだった。
 

あとがき

『漆黒の闇に包まれし土地』というお題を元にして書いた即興小説を、加筆修正した作品です。

闇に包まれし土地、で真っ先に思いついたのが僕の予備校時代でした。

そう、この作品は小説の形を取ったエッセイ、僕の体験談です。実話です(笑)

高校生の皆さんはしっかり勉強し、ストレートで受験に合格するよう頑張ってください。

予備校生の皆さんは、今が踏ん張りどころ。頑張ってください。
 

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