どこだ、どこにいるんだ……。短編小説『消えた相棒』

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 どこだ、どこにいる。
 俺は奴を探しているんだが、奴は忽然と姿を消してしまい、その姿の片鱗すらも窺わせない。
 目を覚ましたら、奴はいなくなっていた。
 
 

 俺と奴の中はかれこれ三年ほど。
 寝るときと風呂に入るとき以外はいつも行動を共にしていた。中学に行くときももちろんいっしょだぜ。
 相棒と言ってもいいぐらいだ。俺は奴のことを結構気に入ってたんだが、奴は違っていたのだろうか。それともまさか、何者かにさらわれたか……!
 
 

「なーに部屋の中を這いずり回ってんのよ」
「ん、なんだ、姉ちゃんか」
 姉ちゃんが俺の部屋に勝手に入ってきた。ノックぐらいしろよ。
「何やってんの?」
「眼鏡だよ眼鏡。眼鏡探してんだよ。全然見つからねえんだよ。これからゲームしようと思ってんのによー」
「プッ」
「な、何吹いてんだよ」
「だってアンタ、眼鏡かけてるし」
「えっ」
 言われて俺は気付いた。
 たしかに、眼鏡かけてるわ、俺。
 よく見れば視界は良好だし。眼鏡無しだったらモヤモヤしててこうはいかない。
 眼鏡かけたままゴロ寝しちまったのがよくなかった。普段なら眼鏡を外して寝るからこういうことになっちゃったんだ。うわ、恥ずかしすぎなんだけど。
 独りだったらまだよかったものの、まさかこんな女に恥ずかしい姿を見られるなんて。
 
 

「プププ」
「こらそこ、笑いすぎだぞ!」
 俺は姉貴に笑われながらゲーム機をセットしたのだった。
 

あとがき

『無意識の事件』というお題を元にして書いた即興小説を、加筆修正した作品です。

まあ、実体験なんですけどねw
 

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