彼女からのまさかの告白に私は……。短編小説『告白の行方』

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「好きです。付き合ってください!」
 と言われ、私は動揺した。
 なぜ、なぜよりにもよって私なのだ?
 あまりの唐突な展開に、私の脳は状況を整理できずにいた。
 戸惑う私をよそに、その少女は自分の思いを熱く語る。 
「実は初めて会ったときからずっと好きだったの。あなたはいつもわたしに優しいし、それにわたしには無い物をたくさん持ってる。ずっと、ずっと、憧れてたの……」
 おぉ、まさかそんな目で私のことを見ていたとは……。
 たしかに私は常日頃から少女に対しては全力の優しさを注いできた。それに少女には無い物を私は多く持っているのも確かである。ビーフジャーキーの早食いでは私の右に出る者はいないであろうし、フリスビーだって得意だ。キャッチするの専門だけど。
 少女は瞳をぎゅっと閉じて、私の返事を待っている。
 どうすれば……いや、でもここはひとつ付き合ってみるのも有りかもしれない。
 私と少女ではどう見る角度を変えても釣り合う関係になれそうにないが、あらゆる障壁を壊してでも貫こうという想いが、この少女からは感じられる。私はその思いに答えるべきではないだろうか。
 私が答を示そうとしたそのとき、少女が顔を上げる。
 というか、私から見ると少女が私から視線を外した形となるが。
「実は俺も、お前のことが好きだったんだ」
 と、私ではない誰かの声が後方から発せられた。
 私は小屋から出て声の出所を見やる。
 塀を挟んだ向こう側に、高校生ぐらいの男がいた。少女の幼馴染だ。
 隣の家同士の付き合いで、幼い頃から現在まで彼らの幼馴染としての関係は続いている。
 そして今この瞬間、その関係が幼馴染から恋人へとクラスチェンジされた。
「うそ……ホント!?」
 少女が瞳を潤ませて訊いた。
 すると男は笑みを浮かべて頷いた。
 私はというと、凶暴な目つきで男を睨んだ。
 だが、少女の足元で睨みを利かせている私の存在など、二人は認識していないかのように見つめ合っていた。もはや人間で言うところのリア充という謎のフィールドが少女と男を包み込んでいた。
 よく考えてみれば、飼い主の少女が飼い犬である私に告白するわけがないか……。
 見ていられない。小屋に隠しておいたビーフジャーキーでもかじってるか。
 リア充フィールド全開のふたりから逃げるようにして、私は犬小屋の中に入って丸くなったのだった。
 

あとがき

今回は『書き出し.me』というサービスを利用して書いた短編を加筆修正してお届けしました。

冒頭の「好きです。付き合ってください!」という部分を元に書いたのですが、いかがでしたでしょうか。

そんな甘ったるい展開にするつもりはさらさらないので、こうして犬視点にしたわけです。

こりゃ恋愛モノ書けないわけだw

 

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