カカオ
どうもお疲れ様です。
ミステリー大好きカカオ(@kudoshin06s)です。
アンソニー・ホロヴィッツの『メインテーマは殺人』を読了したので感想をば。
『メインテーマは殺人』感想
あらすじ
とある老婦人が葬儀屋に出向き、自分の葬儀の手配をしたことから物語は始まる。
老婦人は自分の葬儀を申し込んだその日、何者かに絞殺されてしまった。
元刑事のホーソーンがこの事件の真相を追うことになるのだが、彼はその模様を本にすることを知り合いの作家に打診した。
それがこの物語の作者であるアンソニー・ホロヴィッツであり、彼の視点で物語は展開していく。
探偵はホーソーン。
作者のホロヴィッツはいわばワトソンのポジション。
作者が自ら登場人物となって展開していくひと味違ったミステリーが始まる。
っていう感じでした。
感想(ネタバレ無し)
『メインテーマは殺人』でやはり気になるのは
「自分の葬儀を用意したお婆ちゃんは、自分が殺されることを知っていたのか?」
という点で、これを意識して僕は物語を読み進めました。
が!
物語が進むにつれてキャラも増え、さらなる事件も重なりエクストリームに展開。
上記の疑問を意識すればするほど怪しいと思える登場人物が増えてくるからたまらない(笑)
おまけにこの話の視点役であるホロヴィッツが、本人は良かれと思って色々と行動を起こすけど空回りして大変なことになって、僕の頭の中の推理も大変なことになる。
読んでいてとてもスリリングな話でしたね。
作者が登場人物として登場し、この事件を本にしようとする姿も新鮮でした。
僕はこんなミステリー小説を読むの初めてでしたよ。
『メインテーマは殺人』は複雑に入り組んでいる割に、分かりやすく話が伝わってくるのも印象的でした。
海外小説ってどうにも理解しにくいっていう先入観あるんですよね(苦笑)
事件の舞台が現代だったことも理解のしやすさに一役買ってたかもしれません。
iPhoneは使われるし、発言がネットの炎上に繋がるなどの社会問題も現代的で取っかかりやすかったです。
カカオ
以下はネタバレ盛りだくさんな読んだ人向きの内容なので、まだ読んでない人は撤退しよう!
僕が面白いと思ったところや気に入ったところをピックアップしていきます。
『メインテーマは殺人』の良かったところ
- ホロヴィッツとホーソーンの仲の悪さ
- 「この事件を本にする」というスタイル
- 過去にクーパー夫人が起こした事故の存在
- 登場人物に役者がいることで胡散臭さが増していた
- 葬儀で流れた「ぐるぐるまわる」の不気味さ
- 事件の真相
1つずつ見ていきましょう。
ホロヴィッツとホーソーンの仲の悪さ
『メインテーマは殺人』を最後まで読むと
カカオ
なんだかんだで仲の良い二人やんw
と思うんですけどね。
読み始めてから物語が終盤に突入してなお、仲の悪い印象がずっとありました。
ホロヴィッツはホーソーンに、捜査中は置物にでもなれといわんばかりの扱いを受けてプリプリ怒るし、
ホーソーンは捜査中にホロヴィッツが話したことで思考を乱され不機嫌になってしまう。
でもこの仲の悪さ、僕は嫌いじゃありません。
特にホロヴィッツがホーソーンを見返してやろうと躍起になる様は、いっそ愉快ですらあった(笑)
終盤で単独行動してコーンウォリスに酷い目に遭わされたのだって、ホーソーンとの不仲から出来上がったシーンだと思うんですよね。
もしホロヴィッツとホーソーンの間に強い信頼関係があったら、きっと二人でコーンウォリスを問いつめてそれでゲームセットでしたよ。
「この事件を本にする」というスタイル
作家自らが登場人物になって、しかも起きている事件を本にするというスタイルが新鮮でした。
これってつまり、「今僕が読んでる物語は、物語が作られている過程でもある」なんて状況にも取れて楽しい。
何が楽しいって、まるで作家の物語作りを覗いているような気分になれたからです。
たぶん僕が小説を書いているせいもあるかもですが。
カカオ
過去にこういう形の作品ってあったんですかね?
過去にクーパー夫人が起こした事故の存在
10年近く前にクーパー婦人が起こした事故の存在は、犯人の存在をくらます良い材料でしたね。
被害者の両親や乳母は、クーパー婦人を殺める動機として打ってつけですから。
ただあまりにも打ってつけ過ぎてないな、とも思いましたけど。
何せホロヴィッツがゴドウィンを疑ってましたからね(笑)
ただ同時に、事故現場まで行って調べた末にゴドウィンとメアリが愛人関係になったことが明らかになるシーンは鳥肌モノでした。
事故は結局今回の殺人とは関係なかったけど、事故の真相もまた驚かされましたなぁ。アッパレです。
登場人物に役者がいることで胡散臭さが増していた
ダミアンとグレースの二人が役者だったせいか
カカオ
コイツら、演技してホーソーンを煙に巻こうとしてないか?
なんて思いながら僕は読んでましたw
グレースも一線を退いているとはいえ、ホロヴィッツの描写だとかなり目をひかれる人物のように描かれてましたしね。
ダミアンが退場してしまってからは、僕はグレースに疑いの目を向けていたほどです。
葬儀で流れた「ぐるぐるまわる」の不気味さ
『メインテーマは殺人』で最初の盛り上がりシーンであったのが、クーパー婦人の葬儀で起きたことです。
棺の中から「ぐるぐるまわる」と子供の歌が流れてくる不気味極まりないシーン。
読んでいてゾッとしましたなぁ。
これがまた事件が過去の事故と関係あるのではと思わせる一撃になりましたねぇ。
そしてこれは、ホロヴィッツがコーンウェルにゴドウィンのことを質問したせいで起きたんですよなぁ。
ホーソーンたちが過去の事故を追っていることを知ったら、そりゃあ利用しない手はない。
コーンウェルにしてみたら、手持ちの武器に煙幕が増えたようなもんで…。
上手い展開ですな。うん。
事件の真相
読了後の僕のツイートです。
グレースが1番怪しそうだなーとか思ってた僕だったんですけど、コーンウェルも不可解だと思ってたんですよね。
今は葬儀屋だけど若い頃は色々やってた、みたいな描写。あれが引っかかってました。
そこへ来て物語終盤になるとダミアンやグレースの演劇学校の頃を調べ始めたじゃないですか。
過去を調べるということは、過去が不明瞭なキャラが怪しい。
そうなると浮かび上がってくるのがコーンウェルってワケです。
まぁ、推理らしい推理は一切無いんですけどw
『メインテーマは殺人』の序盤から既に彼は登場し、クーパー婦人を見て頭の中で計画を練っていたと思うと
カカオ
やられた!
と思わずにはいられない。
さらには葬儀の日にコーンウェル家に行ったとき、
彼の服装がなぜかスーツ姿のままだったり、
息子が将来俳優になると言い出すと話を遮ったりするなどなど。
振り返ってみると不審な点が多かった。
けれど振り返ってみないと不審だと思えない、思わせないところがミステリー作家の腕の見せ所ですよなぁ。
僕はまんまと作家さんの罠にハマったワケです。
とても面白かった!
カカオ
今考えてみると「メインテーマは殺人」というタイトルって、事故はあくまでも事故で関係ないよって意味にも取れる気がする…。
『メインテーマは殺人』の微妙だったところ
『メインテーマは殺人』の本筋とは関係のない話に、結構ボリュームが割かれているシーンがありましたね。
特にホロヴィッツの過去作品や経歴については、
カカオ
オーケー、もう分かった。分かったから…
なんて気分で僕は読んでました。
「読み飛ばせばええやん?」って思われるかもしれませんけど、この作品はミステリーなんです。
ガッツリとしたミステリー読んだのは久々でしたなぁ。読み方もなんか久しぶりの感覚だった。普段は斜め読み飛ばし読みは普通なんですけど、ミステリーはじっくりと文字を追います。この本もそんな感じで読み進め、それで正解。サラッと書いてある動作や説明が超絶重要になってきたなぁ。
— カカオ (@kudoshin06s) November 1, 2019
ってなワケです。
『メインテーマは殺人』の感想|まとめ
『メインテーマは殺人』の感想をザックリとまとめます。
- 作家本人の登場で新しさを感じた
- 登場人物たちのキャラが立っていて面白さもあった
- 自分の葬儀を依頼しその日に殺されてしまった老婆の死の真相が気になった
- 事件の真相が別の事件によって煙に巻かれて誘導された
- その誘導によって真相が明らかになったときの爽快感が増した
ってな感じです。
僕は久々にミステリーを読んだんで、正直言うと本の分厚さと活字の密度にまず怯みました。
でも読み始めてみると意外と読みやすくて良かったです。
読了したときには心地よい満足感と共に本を閉じましたね。うん。
おすすめ!