カカオ
どうもお疲れ様です。
カカオ(@kudoshin06s)です。
『家族シアター』を読んだので感想をば。
『家族シアター』感想
あらすじ
小学6年の息子の夢は学校の先生。
それは担任の熱血的な先生の影響だった。
父親である私は、大学で働く学者タイプで自分の時間を優先するような性格。
そんな私にとって、父親だけで構成される親父会なる集まりは死ぬほど面倒だった。
息子だけでなく親たちからも熱血先生はよく思われていた。
私は面倒ながらも親父会で会計をこなし、行事も乗り越えた。
それから八年が経ち、ひょんなことから熱血先生の熱血らしからぬ姿が見えてきた……
こんな感じ。
ちなみにこのあらすじは全七編の短編のうちの1つで、ほかに6つのエピソードが収録されています。
感想(ネタバレ無し)
7つの話全てが
- 家族(姉妹、兄弟、親子など)が描かれ
- 物語中は対立するが
- 読後感はほっこりor感動
って感じのスタイルでした。
どのエピソードも「やっぱ家族っていいな」って思わせてくれる優しい雰囲気に落ち着いてくれます。
物語中は登場人物同士が対立したり、大変なことになって後悔に泣き暮れることもありました。
が!
それを家族と乗り越えて分かり合っていく姿は感動しますよっ!
ネタバレになっちゃうんでどの話かは言えないけど(笑)
『家族シアター』はこういう人にオススメ!
僕は以下のタイプの人に『家族シアター』をオススメしたいですね。
- 読後にほっこりする話が読みたい
- あまり時間がない
家族を題材にしているだけあって、心温まる話になっています。
心温まるとは程遠い設定のキャラもいますけど、終わってみればほっこりです(笑)
また、短編集でそれぞれの話にはつながりはほぼ無いも同然。
1日1話ずつ読む、なんてスタイルでまったり読み進められますよ。
カカオ
以下はネタバレ盛りだくさんな読んだ人向きの内容なので、まだ読んでない人は撤退しよう!
僕が面白いと思ったところや気に入ったところをピックアップしていきます。
『家族シアター』の良かったところ
各エピソードごとにサクッと良かった点を書いていきます。
「妹」という祝福
オタクで陰キャな姉を反面教師にして妹は陽キャになった。
これって実際に結構ありそうで面白かったですなぁ。
妹は姉を嫌っていたけど、実は姉が守ってくれていたっていう展開もグッド。
カカオ
これぞ家族!
サイリウム
以下は読了直後の僕のツイートです。
第2話「サイリウム」読んだ。1話目の姉妹を激しくブーストさせたような姉弟が登場。この話の弟は、姉を反面教師というより「姉みたいなタイプは選ぶまい」みたいな感じで面白かった。上と下が異性だとこうなるのかも。
でも1話目もそうだけど、キョウダイって根っこでは似てるっぽい…。
— カカオ (@kudoshin06s) September 15, 2019
この呟きが全てですね。
私のディアマンテ
第3話「私のディアマンテ」読んだ。高校生の娘がいる母親視点で、彼女がフワフワした性格なようでいていざって時に見せた強さが印象的。娘の気持ちが最優先の余り空回りしてるけど、貫き通したら一周回ってめでたしめでたしってワケですな。タイトルについても「なるほど!」と納得。ええ話でした。
— カカオ (@kudoshin06s) September 17, 2019
ええ話であると同時に、娘の妊娠が明らかになったときにちょっとしたミステリーっぽさがあったのも良かったです。
スーパーで娘が妊婦にぶつかってしまったとき、なぜあれほどまでに狼狽したのか。
ほかにも体調不良など、真実が分かると「それでか…」と腑に落ちてスッキリした読後感だった。
タイムカプセルの八年
個人的には1番面白かった話でした。
学者の父親視点で描かれているんですけど、
自分の時間を大切にする彼が他の家族の父親と行事に参加させられたり、
やりたくもない会計を押しつけられて内心で憤慨する様が笑えました。
息子のクリスマスプレゼントを買い忘れた辺りなんかは特に面白かったw
熱血先生を慕っていた息子が、実は大学で働く父親の「仕事のプロ感」に影響されていたってところはグッときましたねぇ。
1992年の秋空
7つの話の中で最もヘビーだったかも。
妹が鉄棒から落ちて骨折、入院っていう展開がもうね…。
逆上がりの練習に付き合う約束をしていたのにすっぽかした姉の後悔たるや…。
宇宙飛行士になりたがっていたのに怪我が原因でなれないかもしれない。
自分を責める姉の苦しみが胸に重くのし掛かりました…。
カカオ
でもその苦しさがあったからこそ、姉妹が分かり合えたときの喜びもまたひとしお!
孫と誕生会
小学生の女の子の孫を、おじいちゃん視点で見たのがまず良かったです。
親視点だと距離が近すぎるけど、おじいちゃん視点だと世代的な事情もあってか突き放しつつ、提案する解決策はゴリ推しで面白い。
いやそれにしても、小学生の内から人間関係の問題は色々ありますよね…。
大人も子供も本質はそんな変わらないような気がしましたよ……。
タマシイム・マシンの永遠
「タイムマシン」と読み間違えたのは僕だけではないはず(笑)
魂だけをタイムスリップさせる道具がドラえもんにあったのかー。
お婆ちゃんの「覚えててね」という台詞、
そして主人公がそれをキッカケに、もう覚えていないと思っていた祖父の記憶が蘇る流れはマジで泣けます。
『家族シアター』の微妙だったところ
「タマシイム・マシンの永遠」って、ドラえもんあってこその話なのがちょっと微妙かも、とは思った。
凄く感動したんですけどね。
読後に
「よく考えたらタマシイム・マシンって道具とかドラえもんのお陰だよな…」
って思ったんです。
特にこの話はタマシイム・マシンやドラえもんの設定に乗っかりすぎてるきらいがあるので、賛否は分かれるかも。
で、こんなこと書いておいてなんですけど、僕はあんまり気にしてません。
カカオ
感動して満足できればオーケーです!
『家族シアター』感想|まとめ
ザックリと感想をまとめると、
- 読みやすくて
- 驚きもあって
- 感動できた!
全体的にこんな感じでした。
カカオ
心に残る短編集だったよ!
ちなみに辻村深月さんの小説だと『サクラ咲く』も面白い短編集でした。
こちらは連作短編で各エピソードが間接的に繋がっていて、これまた良い話でしたよ~!
感想もアップしてますんで合わせてどうぞっ!